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GITA院長の青い窓~こわい患者さん

もうすぐ春だそうですね

でもまだストーブの前から離れられない院長ネコのGITAです。

とうとう眉毛が焼けて薄くなりましたが、

差し迫って結婚や恋の予定もないので 特に構いません。


ある朝 アミ~御が電話を受けてるのを 

ボクは布団の中でウトウト聴いてました。

”え? 脳に見つかった? 今日 手術? 
 それは良かった!! ”

”それで週末の予約はキャンセルね、はいはい、分かりました、 
 やれやれ!!”

これ、ちょっとアミ~御!
良かっただの、やれやれだの、少し不謹慎ではありませんか!?


聞けば、それは先週末みえたばかりの患者さんのことでした

10年以上来てくれてる女性がこの度結婚したのですが、

これから同居するお姑さんの足が悪く心配で 大阪から連れて見えたのでした

来られた義母さんは、杖とお嫁さんにすがるように入ってみえました。

靴を脱いであがるのも大変そうで

アミ~御も結婚のお祝いを言える状態ではありません

すぐに問診が始まって、カルテの病症欄は真っ黒に埋まりました。


両足股関節はともに手術済み

左足は動かしづらく、ふくらはぎから下は毎晩うづいて眠りにくい

右腰から膝は常に痛み

両腕はしびれ、特に左腕は痛くて上がらない


(たいへんだな~)

ボクは院長椅子で丸くなりながら聞いていました

ひととおり話を聞くと アミ~御が質問し始めました。

”血圧は?”

”高いです。降圧剤のんでます”

”他に血液上の数値は?”

”尿酸値が高めで、腎機能の数値も最近 悪いです”

う~んとアミ~御がうなると、

お嫁さんが付け加えるに、

”心筋症、狭心症もやってますので ワルファリン(血液サラサラ剤)も飲んでます”

しばらく黙ったあと アミ~御が話し始めました。

”遠くから来ていただき、そう頻繁には通えないと思うので
 今日はできるだけのことを全部やらせてもらおうと思っていましたが、
 半分もできないと思います”

(おい、何を言い出すんだ?)

”腰や膝、腕は改善していけます。今よりずいぶん楽になられると思います。
 ただ、ゆっくり慎重にしか進められないんです”

お義母さんもお嫁さんも、ボクも ???

”治療すれば 血流が良くなります。
 血流が良くなって 身体の様々な症状は軽減していくんですが、

 怖さもあります。
 
 血栓が飛ぶこともありうるんです。
 
 脳を検査されたことはありますか?”

”数年前に調べた時は 特に・・・”

”好かったです でも慎重にやらなければならないと思います。
 今日は必ず水素吸入もしてください。
 それといい水を飲むなど 生活の注意も考えてもらえますか?”

(アミ~御、腰膝痛いんだから整形分野の治療だけすればいいじゃないか!
 余計なこと言って 患者さんを不安がらせる、悪いくせだぞ!)

そしてその日の治療が終わると、

お義母さんの前かがみの姿勢の背中が伸びて 動きが変わった。

本人も足が軽いと 笑顔が出るようになった。


翌日お嫁さんから 夕べは足のうずきもなくよく眠れて

また行きたいので2週分予約したいと言っていると電話もあった

”それは 良かった!” と言いつつも

アミ~御はなぜか浮かなかったのです。

そして数日後の朝 その電話があったのです。

お嫁さんの女性はもう長く通っていて

アミ~御の言いたいことをよく理解してくれているし、

実際 生活上 気にかかることもあったらしく、

念のため検査してみようかと勧めたそうです。

すると脳に梗塞巣が見つかり、

幸い小さく取りやすい場所なので すぐ手術しましょうとなったそうだ。

なので、アミ~御の大きな憂いは取り除かれ、

やれやれの、良かった! となり、

お嫁さんも ”そうなんです、良かったです” となったのでした


電話の後 アミ~御がボクにつぶやくには、

そのお義母さんが入って来られた時に

これは足が悪いだけじゃないと感じたそうです。

おそらくどこかに動脈硬化があるし、身体も酸化傾向が強いし

脳で梗塞をおこす可能性もあるな~と思ったそうです。


”ほんとはね、” と 

ボクの焦げた眉毛を撫でながら

”こわかったんだよね~、 リスク大きいし・・”

”でもね、ずっと来てくれてる親思いの彼女の

 これからの結婚生活を 少しでも楽しく過ごしてほしいじゃん”

”でもほんとは、こわかったんだよね~~もう~~!!”

ブチッ!  (あ、残ってた眉毛まで 抜けた!)


そういえば、以前も 

若い患者さんだったけど 一度施術して、そのあと

施術ではなく しばらく水素を吸ってほしいと言ったことがあるよね

腰が痛くて来たその方は 訳わからず来なくなったけど

あの時も 何か不安を感じてたのかもね

相手に無駄な不安を与えないように きちんと説明ができて

適切だと思える治療をすすめるのは

どんなに長く治療していても  むずかしいことなんだね


眉毛のあったあたりをなでつつ 

少しだけ アミ~御の気持ちを察した朝でした。




photo by keigo Y
  











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