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GITA院長の青い窓~湯灌(ゆかん)

ちょうど10日前の朝早く電話が鳴ると

アミ~御は いつになくキビキビと

いや、ジタバタと動き始めた

PCに向かい何かを予約し、何軒も電話して謝ると

大きなスーツケースにそこいらのものを投げ入れている

庭猫ギャル娘用に大量のご飯を

ボス猫に見つからないよう分けて置くと

ボクと ボクの便秘と肝臓に良いごはんとおやつを

バッグにつめて 動物病院まで走った

”よろしくお願いします!

引取りの日は分かり次第電話します”

(へ? いつかわからない?!)

びっくり目のボクの顔を両手でぎゅっとはさみ

”じゃ ギタ、ガンバ!”

わけわからないけど

(アミ~御の方こそ、ガンバ!だぞ)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(これが湯灌というものか・・・)

初めて見る儀式だった

きちんと制服をきた若い女性二人が

静かに 丁寧に

亡き人の尊厳を守りながら

父の体をお湯で清めていく

 

あれからも また一層やせてしまったんだな

 

つい2週間前の父との最後の会話が浮かぶ

息苦しさとろれつも回らず

聞き取れないもどかしさの中で

やっとききわけた いくつかの言葉

 

”お父さん、じゃ 行くね”

”うん・・今生の・・別れじゃ・・・”

”・・・・・”

”いろいろ ありがと・・”

”わたしこそ ありがとうだよ

私は お父さんがお父さんで ほんとによかった!”

”そ・・か?・・”

 

 

父のやせ細った体や髪を洗い

きれいに髭も剃って

清潔な着物を着せてくれる

 

やせて穴が開いたようだった頬もふっくらさせて

自然な顔色にしてくれる

 

後で聞いたが、

彼女らは若いけれど

事故などでひどく損傷した顔も 生前に近く復元する技術も

持っているのだという

 

この湯灌の儀式をそばで見ているうちに

不思議なことに こちらの気持ちまで洗われて

血色のよくなった父が まるで元気だった頃のように

眠っているようで 心が温かくゆるんできたのだ

 

素晴らしい仕事だな

心からそう思った

 

静かな仕事が終わり 帰り際の軽い雑談で

一人の彼女が聞いた

”お父さんの足は?”

”ああ、ずっと義足だったんですよ”

父は左足の膝下からなく 生涯のほとんどを

義足で過ごしたのだ

 

”そうですか かっこいいですね”

 

その意外に新鮮な言葉に

父も ”ホ・・・”と 笑ったような気がした

 

(よかったね、 お父さん 最高じゃん!)

 

 

故人とともに癒された 湯灌の儀だった

https://www.facebook.com/NHKhuman/videos/468623490840734

 

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